牛乳を飲むと、お腹が緩くなったりすることがあるので、何となく便秘に効きそうな印象がありますね。
また、「朝1杯の冷たい牛乳が便秘に効果がある」という話も、よく耳にします。
本当のところ、牛乳には、どのようなはたらきがあって、便秘を解消してくれるのでしょうか?
牛乳の便秘解消の立役者は「乳糖」
牛乳が便秘解消に効果があるとされる理由は、牛乳に含まれている「乳糖(ラクトース)」という物質によります。
乳糖は、読んで字のごとく、「糖」の一種です。
この乳糖は、消化されにくい性質を持っているため、大腸までそのまま届くケースが多くなります。
大腸まで届いた乳糖は、善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖に役立ちます。
結果として、腸内環境が整えられ、便秘の解消につながっていくというわけです。
また、微量ではありますが、牛乳には「オリゴ糖」も含まれています。
オリゴ糖も乳糖と同じようなはたらきをしますので、やはり腸内環境を整えるに一役買っています。
オリゴ糖の効果については、こちらの記事(オリゴ糖は便秘解消のための「縁の下の力持ち」)も参考にしてみてください。
「朝1杯の牛乳」は、本当に便秘に効果があるのか?
冒頭でもお話しましたが、「朝1杯の冷たい牛乳が便秘に効果がある」という話があります。
これは、理屈から言って、本当のことです。
ただし、この効果は、前述の乳糖などによるものではなく、「胃-結腸反射」によるものが大きいと考えられます。
[参考記事] 便秘解消への第一歩!「朝ごはん」から始めよう!
なので、極端な話、「朝1杯の『冷たい水』」でも効果があります。
ですが、水よりも牛乳の方が、より胃に与える刺激が強くなるため、牛乳の方が効果があるということなのです。
ただ、冷たい牛乳ですと、刺激が強すぎて、お腹を下してしまうこともあります。
そのようなときには、「ホットミルク」ならば、やや刺激が弱くなり、お腹を下す確率が低くなりますので、試してみてはいかがでしょうか?
なお、下痢と便秘を繰り返す「痙攣性便秘」の場合には、刺激が逆に悪影響を及ぼすことにもなりかねませんので、冷たい牛乳を飲むのは避けた方がいいでしょう。
牛乳を飲むとお腹を下してしまう理由
冷たくしても温かくしても、牛乳を飲むと、いつもお腹を下してしまう人がいるかと思います。
「牛乳が効きすぎているのかな?」と思うかもしれませんが、これは牛乳の整腸作用によるものではありません。
これは「乳糖不耐症」というもので、乳糖を分解する酵素を持ちあわせていないために起こります。
ちなみに、日本人には、元来牛乳を飲む習慣がなかったため、乳糖不耐症の人が多いと言われています。
このような場合、「お通じが良くなった!」と喜んではいけません。
下痢も、便秘と同様に、腸内環境が整っていない場合に起こります。
また、下痢は、体全体にもとても大きなダメージを与えるものです。
ですから、自分が乳糖不耐症だと分かった際には、いくらお通じが良くなったとしても、牛乳を飲むことを控えた方がいいでしょう。