便秘薬・下剤は、あの便秘の辛い思いを、一時でも楽にしてくれる「魔法の薬」ですね。
しかし、効果が高いということは、その反面である「副作用」が大きいことも現実としてあります。
ここでは、便秘薬・下剤の中でも、一般的に効き目が強いとされる「刺激性下剤」の副作用について、お話したいと思います。
便秘薬・下剤の副作用
腹痛・下痢
刺激性下剤を飲んで、すぐに出る副作用として挙げられるのが、腹痛や下痢です。
そもそも刺激性下剤は、腸に刺激を与え、腸を無理やり動かすことによって、強制的に排便させるものです。
ですから、どうしても腸に負担がかかり、腹痛や下痢が起こります。
人によって程度の差はあるかもしれません。
しかし、下剤を使うと、腹痛や下痢が起こるのは、当然のことだということを認識しておきましょう。
大腸メラノーシス
刺激性下剤を長期連用することで起こる副作用の一つが、「大腸メラノーシス」です。
これは、大腸が刺激性下剤から刺激を受け続けた結果、ダメージを負ってしまうことによって起こります。
大腸メラノーシスでは、大腸が黒ずみ、大腸の壁が伸びきったゴムのように固くなります。
そして、この黒ずんだ部分は、大腸としての機能を失ってしまいます。
このことにより、便秘がさらに悪化することになるのです。
ここで再び下剤を服用すると、ますます大腸メラノーシスの範囲が大きくなり、症状はより酷くなっていきます。
さらに状況が進行すると、最終的には大腸の機能がすべて失われることになりかねません。
下剤依存症
「下剤依存症」も、刺激性下剤を長期連用することで起こる副作用です。
大腸は、刺激性下剤から刺激を受け続けると、その刺激に対して徐々に反応しなくなっていきます。
さらに下剤の量を増やすと、当初は反応しますが、そのうちに再び反応がなくなっていきます。
このことが際限なく続いていくと、相当量の下剤を飲まないと排便できない状態になってしまうのです。
これが下剤依存症の状態です。
便秘薬・下剤の乱用は厳禁!
冒頭でも述べましたが、便秘薬・下剤は、辛い便秘を少しでも和らげるのには、とても有効な薬です。
しかし、便秘薬・下剤は、便秘を根本的に治療するわけではありません。
あくまでも、一時的な対処療法なのです。
また、上に書いた「大腸メラノーシス」や「下剤依存症」になってしまうと、その治療のためには長い時間と苦痛が待ち受けています。
ですから、市販の便秘薬・下剤を安易に乱用することは、厳に慎むべきです。
どうしても、便秘薬・下剤が必要なのであれば、医師の診察を受けた上で処方してもらい、薬の量などをコントロールしてもらうのが安全です。
そして、便秘薬・下剤に頼らずに、食生活や生活習慣の見直しを通して、便秘を解消する方策を考えることが、最善の策であることを肝に銘じましょう。